ボーナスが出た

そういえば前職場でのボーナスは1万円の商品券だった。これが百貨店でしか使えないものだったのだが、あっけにとられて固まるわたしに経理兼専務兼人事掌握権の社長夫人は「本来なら入社半年の君には出ないんだけど特例よ」と続けた。分かりやすい経営者還元型経営を目の当たりにし、絶望と特例を受け取った。

特例がなんだか汚いもののような気がしてきて、どうにか洗浄したかった。三越派か高島屋派と言うと楽天市場派の私には使い道がなくて、バレンタインフェアでチョコを買って男性社員へとマネーロンダリングを展開した。

そんな会社を寿円満退社し、なんとか転職に成功し入社5か月。決して多いとは言えないが、お金のボーナスを受け取った。やはり夫人への違和感と、特例への気持ちの悪さを感じた感覚は正常だったのだ。転職は成功だ。しかしこのご時世、今の会社がつぶれてしまう可能性だってあるのだ。夫人に怯えて過ごした日々だって、辞めたことを後悔する日が来るのかもしれない。何が正しくて何が間違っているのなんか誰にもわからない。なんにせよ、マネーロンダリングチョコレートで釣れた男性社員と結婚した私の未来は褐色だ。